地球温暖化への対応策として、環境に配慮された商品を開発するだけでは不十分だ。消費者が商品を選ぶ際、環境配慮を選択基準にするケースは少なく、環境に対する消費者の意識改革が進まなければ、環境配慮型の商品が普及することは難しいからだ。さらに、どの商品が環境に配慮して開発されたかが一目で分かる仕組みも求められる。
そうした中で、経済産業省は、環境配慮型の商品を普及させるための事業「どんぐりポイント制度」を推進している。どんぐりポイント制度は、環境配慮型の商品の購買や利用を促していくために、その商品にマークをつけて分かりやすく表示する取組となる。その概要は以下の通りだ。
まず協賛事業者が、製品やサービスの原材料の調達から、製造、流通、使用、廃棄に至るまで、ライフサイクル全体で排出したCO2の量を算出する。温室効果ガスの排出量を認識し、排出量の削減を主体的に努力するのだ。
その上で、削減することが難しい排出量について、温室効果ガスの削減活動への投資などによって埋め合わせすることで、実質的に温室効果ガスをゼロにするカーボン・オフセットに取り組む。
温室効果ガス排出量をカーボン・オフセットによって相殺した商品には、専用のどんぐりマークを付けることができ、協賛事業者は環境配慮への取組を消費者に対してアピールできる。消費者にとっても、環境配慮型の製品が選びやすくなり、環境対策への参加意識を醸成できる。
対象となる商品を購入すると、原則として価格の100分の1のポイントを取得できる。100円の商品であれば1ポイントといった具合だ。ポイントは、パッケージにシールを張って配布したり、カードや証書として配布したりすることを検討しているという。
ポイントは、消費者が直接利用することはできない。消費者は、ためたポイントを商店街や環境団体、NPO、学校のPTAなどで構成される「どんぐりポイントコミュニティ」に提供する。コミュニティは、そのポイントをどんぐりポイントの事務局に送付し、事務局は交換商品を取り扱う事業者を通じて、ポイントに応じた商品やサービスをコミュニティに提供する。
市場調査やコンサルティングなどを営むインテージリサーチは、どんぐりポイント制度の事業全体の統括や運営を担っている。どんぐりポイント制度の効果について、同社の西 哲夫氏は、「ポイントを通じてコミュニティに提供されるのは、植物などの環境に優しい商品やサービスを想定しています。どんぐりポイント制度では、カーボン・オフセット商品の購買や利用を推進していくだけでなく、消費者はポイントを通じて地域の環境活動にも貢献できます」と説明する。
カーボン・オフセット商品を提供する協賛事業者は、2014年2月下旬時点で13社が登録されている。提供される商品やサービスは、スマートフォンやタオル、精米・玄米、ドレッシング、給食用食器、環境施設のバスツアー、CO2排出量が少ないクルマを使った引越しサービスなど、多岐にわたっている。
「対象商品には日用品や食品も用意されています。日々の生活の中で環境に配慮された商品を使用することで、消費者の環境に対する意識も高まるでしょう」(西氏)
今後も、広告出稿やイベントなどによって、どんぐりポイント制度の認知度の向上を図っていくという。