電気自動車用リチウムイオン蓄電池は、充電や放電を繰り返して利用するが、回数を重ねるごとに電池容量が下がっていく。電気自動車用蓄電池の寿命は、製品や使用状況によって異なるが5〜10年程度となる。
フォーアールエナジーの塩見氏は、「電気自動車用蓄電池の寿命が切れたとしても、それは電気自動車で求められる充放電性能を満たせなくなっただけであり、蓄電性能が完全に失われたわけではない」と説明する。電気自動車用リチウムイオン蓄電池は残存性能が高く、2次利用することで残存性能を最大限に活用できるようになる。
フォーアールエナジーは、電気自動車用リチウムイオン蓄電池の2次利用を通じて、エネルギー問題の解決に取り組んでいる。具体的には、電気自動車での使用を終えたバッテリーパックをリサイクルして分解する。バッテリーのモジュール構成を変更させ、新たなパッケージを作り出すビジネスモデルづくりに注力している。
簡単に言えば、蓄電池をリサイクルし、災害時に利用するバックアップ電源などを再開発して販売する事業だ。再利用を終えたバッテリーを再び回収して製品化することも想定しており、限りある資源を極限まで利用する。
バッテリーを2次利用することで価格を抑えられるほか、太陽光などの再生可能エネルギーを使って充電することでCO2の排出量も抑えられるという。
同社は神奈川県と共同で、リチウムイオン電池の再利用に関する実証実験を行っている。電気自動車用の蓄電池を回収してモジュール構成を変化させ、太陽光充電システムを開発。システムを実証実験場に設置し、電池の特性などを検証している。
同社は、再利用電池を用いたバッテリーシステムの販売を2016年から開始する計画だ。
リチウムイオン電池の正極、負極に含まれるリチウムやマンガン、ニッケルなどの活物質は、技術的に再利用することが難しい。そこで、同社の親会社である日産自動車がリサイクル技術の開発を進めている。材料の抽出や元素分離などが技術開発にあたっての課題だ。
リチウムイオンバッテリーをそのままの状態で焼却すると爆発する危険性がある。そのため、現在は処分の一環として、アスファルトに混ぜて道路工事などに使われるケースがある。これもある意味では再利用だが、リチウムイオンバッテリーは価格が高いため、極力バッテリーとして再利用したいところだ。蓄電池を使用したスマートシティの普及のためにも、蓄電池の再利用の技術の発展が期待される。