特に、PowerPoint文書への音声データの貼り付けについては、テストやプリントと同じビジュアルに設問と同じ音声データを貼り付けることで、ビジュアルをタッチするだけで必要に応じて音声が再生されるため、テストやプリントを1人でもスムーズに回答できるようになったという効果が見られたという。その具体的な成果が次の画面だ。
1回目、2回目の緑の線は、ICTツールによる支援を使わず1人で取り組んだときの得点だ。そして、1回目と2回目の同じテストを担任に読み上げてもらって回答したのが紺色の得点である。さらに、3回目からは読み上げ音声のデータの貼り付けたPowerPoint文書を利用したときの得点となる。なお、満点は100点ではなく150点のテストであった。
担任が読み上げるのに対して音声データを用いた場合の得点が高いことについて井上先生は、「音声データならば回答が難しい箇所に画面をタッチするだけで、しかも気兼ねなく何度も繰り返して読み上げさせることができる」ことが効果につながったと分析する。
さらに、当初はテストやプリントに回答する方法として音声入力や手書き入力の活用も検討していた。
しかし、文章を見て書くことはできても覚えることができないため、テストやプリントの回答には音声入力は向いていなかった。一方で、日記などでは書きたいことを自分でイメージできるため、音声入力の効果が得られたという。
井上先生も報告している通り、ICTツールの効果は、児童生徒それぞれの困難の場面に応じた支援方法を検討して活用することで得られるのだ。