スマートシティの実現において、自動車は快適で便利な社会の実現や経済活動に大きな貢献をしている。一方で、交通事故や交通渋滞、環境問題という課題もある。
日産自動車の志賀俊之COO(最高執行責任者)は解決策の一つとして、同社のEV、「リーフ」(LEAF)を開発・販売している。志賀COOは、「発売初年度の2011年度は2万台、2012年が3万台、2013年は5万台を販売した。思ったほど売れてないじゃないかと思われるかもしれないが、家庭用ソーラーパネルの同時期の成長率と比較してみると、リーフの方が伸びている」と胸を張る。
自動車はこれまで限りある化石燃料を利用してきたが、リーフによってついに無限の自然エネルギーによって動くようになった。しかも、自然エネルギーで作られた電力を消費するだけではなく、自動車に貯めることもできる。日産自動車はこういった社会を、これから普及させようとしているという。
日産自動車のEV、「リーフ」(LEAF)。写真は自動運転試作車両。自動運転を実現すれば、交通事故や交通渋滞の課題も解消できるかもしれない。
志賀COOは、「自動車に電気を貯めることはとても大事なこと。再生可能エネルギーで自動車が走れば、CO2削減を大幅に削減できる。しかし、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの供給は不安定。必要な時に発電できなかったり、不要な時に過剰に発電したりする。そこで、大容量の蓄電池に電力を貯めることで、再生可能エネルギーによる電力供給を安定化することができる。ただし、家庭に大容量の蓄電池を導入するのは難しい。そこで、EVやPHVに搭載されている蓄電池に貯めた電力を使えばいい」と説く。すなわち、V2H(Vehicle to Home)の利点というわけだ。
1台のEVやPHVに蓄えられた電力でも一般家庭で消費される電力を一定時間まかなうことができるが、EVやPHVが社会に広く普及すれば、地域に必要な電力を自動車に貯められた電力でまかなうことが可能となる。ゆえに、EVやPHVの普及がスマートシティの実現に貢献するという持論だ。
なるほど、日産自動車にはぜひともEVやPHVの新車価格を大幅に値引きして普及を推進するとともに、公共の充電設備の整備も同時に充実させてほしい。ただし、EVやPHVを充電するための電力が、火力発電で作られたものであっては無に帰してしまうが。