エネルギー・環境

最新の情報通信技術(ICT)をはじめとした革新的なテクノロジーを駆使して実現される快適で便利な持続可能な社会、スマートシティ、スマートコミュニティの実現に向けて、関連する分野においてそれぞれ進められている研究・開発、実証実験など、実用化に向けたさまざまな取り組みを総合的に発信していきます。
2014/02/22

流通業が考えるまちづくり・コミュニティづくりへの貢献−イオンの取り組む環境・社会貢献活動−

イオン株式会社
執行役
ドラッグ・ファーマシー事業最高経営責任者
グループ環境最高責任者
平林秀博氏

小売業は平和な場所でなければ商売できない。小売業は地域とそこに住む人とのつながりで成り立っている。イオン株式会社はこうした理念で事業を展開しており、社会貢献への取り組みは同社にとって特別なことではないという。「スマートイオンをスローガンに掲げ、」店舗から店舗の外へと取り組みの範囲を広げているという。

CO2185万トン削減に続きエネルギー使用量の半減を目指す

 イオンでは、スマートシティという言葉はもちろんのこと、CO2削減という機運が広がるはるか以前から、環境への取り組みを進めてきた。例えば、1981年にはジャスコ倉敷店にソーラーパネルを設置した。
 そして近年では、2008年より185万トンものCO2削減に取り組み、目標の1年前倒しで達成した実績を持つ。
 さらに2012年9月より同社はエネルギーに関する新たな方針として「イオンのecoプロジェクト」を策定。(1)エネルギー使用量を半減、(2)再生可能エネルギーを20万KW発電、(3)全国100店舗を防災拠点として活用という3つの取り組みが柱となっている。
 イオンの平林秀博執行役は、「再生可能エネルギーについては現在160店舗ほどで2万KW程度の達成度。2014年度中には10KWに伸ばしたい」と意欲を語る。
 防災拠点への取り組みについては、過去のエピソードを披露した。平林執行役は、「東日本大震災の際に東北のショッピングセンター(SC)が被災して店舗を避難所として開放した。その際、石巻のSCのテナントの時計・貴金属店に聞いた話では、商品の防犯対策をほぼ何もしていなかったにも関わらず、商品が1点もなくなっていなかったという話を聞いた。また、SCを利用した方々から、たくさんの感謝の言葉をいただいた」と、防災拠点としての店舗の役割の大切さを説明した。

店舗の取り組みから地域社会への貢献へと枠組みを拡大

 イオンのecoプロジェクトの基盤には、店舗自体の環境配慮だけではなく、街づくり、コミュニティづくりへの貢献へと枠組みを広げる、「エコストア」から「スマートイオン」という理念がある。スマートイオンの具体的な取り組みについては、画面の8つの取り組みを掲げている。
 そして、スマートイオンへの取り組みを推進するための評価基準も用意されている。画面の評価項目において、★印が1つ以上ある店舗をスマートイオンと認定する制度だ。
 スマートイオンへの実際の取り組みは、各店舗で目的を変えているという。例えば、イオンモール八幡東(福岡県北九州市)では、北九州市と経済産業省との協力のもと地域エネルギー管理システム(CEMS)と連携して、店舗と地域のエネルギーマネジメントを最適化する取り組みが行われている。
 また、2013年5月にオープンしたばかりのイオン大阪ドームシティ店は、防災対応型スマートイオンの実例となる。

 環境から社会基盤へ、店舗の取り組みから地域社会へと、貢献の枠組みを広げているイオンだが、今後はさらに地域へのエネルギーの提供や、買い物以外の目的、すなわちお金を使わなくても長時間無料で利用できるスペースの開放など、地域住民の外出による電力のピークカットやエネルギー利用の効率化、最適化に貢献できる方法もありそうだ。ぜひ取り組みを拡大してもらいたい。

(リポート:レビューマガジン社・下地孝雄)
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